パソコンがぶち壊れた時、原稿用紙に書いてた奴です。手直ししてから上げようと思ってたので、ちょっと内容が違うけどw
         小6の頃……なので去年。去年っていうか、一年も立ってないかもしれない。(2024年10月地点で管理人は中一)
    
         後は、原稿用紙で残ってる奴は、昔見た夢が元の小説と、書きかけの蛞蝓小説あります。
         好評だったら、というか、気分がよかったら乗せますね。あんまりここが長くても萎えると思うんで、そろそろ読んでください。
    
イギリスのデビットという名の金持ちが、己の死期を悟り、最期の時を安らかに過ごす為山奥に自分と四人の美しい女中しか出入りできない豪華な館を建てたという。
        「それじゃあ、これからお前達には世話になるよ。よろしく頼む。」
         デビットは四人の女中を館へ呼ぶとすぐさま、形だけのささやかな感謝の言葉を送った。
         雇われた女中の一人であるルーシーは、デビットの顔を一目見て、豚の様だと心の中で思った。ベストのスーツを綺麗に着こなし、それなりに清潔そうで髭の手入りもしている様だったが、腹を風船の様に膨らませているのだ。
         ルーシーはその傲慢そうな男を好きになれそうにはないと思ったが、「そんな、デビッド様、恐縮ですわ」と下手に出る女を演じた。
        (死期を悟った大富豪と聞いていたら、ガリガリの老人かと思ってたけれど、ただのデブじゃないの)
         ルーシーは心の中でそう吐き捨てる。
    
         次にデビットは、女中に守ってほしいここの掟をあらかた説明してやった。
         料理の食材、日用品などは使用人が玄関まで届けてくれるので外出の必要はないこと。許可のない外出は一切許さず、お仕着せにはデビッドの許可が降りていない外出をすると館中にブザーが鳴る仕掛けがあるので周辺をブラつくだけでも許さないこと。ここの情報は死んでも外部に漏らさないこと。変な事は考えないこと。
         それらを理解させ、女中達の最初の仕事として与えられたのは全体的にホコリっぽい館の掃除であった。
    
***
         デビットが自室で休んでいる一方、女中達の掃除はいつまで経っても終わらなかった。
         ルーシーとアンがモップをかけて、シャーロットが窓拭きをして、セイラは天井や壁のホコリをロングモップで取っていた。それでも、この館は五人が住むには大きすぎて、広くて長い廊下の全ても終わっていない。
         窓を拭く単純な作業をやりながら、シャーロットは何度も心の中で「ダメだ」と言い聞かせていた。変な事は考えないよう言われていたのに、心がかりな事があったからだ。シャーロットは後ろにいる三人へ振り向かず、背中を向けたまま恐る恐る聞いた。
        「ねぇ……皆さんはどうしてここに来たんです?」
         まず、ルーシーが答えた。
        「金よ。お金」
         次にセイラ。
        「同じく、金だ」
         最期、アンがしどろもどろに言った。
        「えっと、その、実家が貧乏で……」
         全員、金。ぶっちゃけ、シャーロットもそうだった。デビットが死んだ時、給料として銀行口座に多額の金が振り込まれると聞いていた。デビットという男は、メディア露出は少なく、彼の年齢や生まれなどの情報も殆どない。顔も一部社員しか知らない。しかしそのデビッドという名前は世界的自動車会社の社長として信頼ある物だった。その為四人は顔も知らず彼の女中として雇われに易々とこの館に来たのだ。
        「あの男、何歳くらいに見えた?」
         シャーロットが尋ねると、セイラが言った。
        「四十代後半。死期を悟るには早い様に思える」
         アンが大きく驚いた。
        「え、じゃ、じゃあ。別の意図があるって事ですか? そ、それとも、本当は別人とか……」
         シャーロットが言う。
        「あれだけ太っているなら寿命じゃなくても生活習慣病とかあるでしょう」
        「本人でもそうでなくとも、金は十分あるはずでしょう。もし私達の服の細工がハッタリでも、実際こんな豪華なお館があるんだから。ここだけの話ね。私はチンタラあいつがお陀仏にするのをペコペコしながら待つつもりは到底ないわ。この館にある金だけでも掻っ払ってトンズラこくつもりよ」
         ルーシーが自信満々にそう語ると、セイラが笑った。
        「面白いじゃないか。お前、ルーシーといったか? ぜひ協力させてくれよ」
         セイラとルーシーが作業を続けながら言葉なく握手する。アンはそれをぼうっと見ていると、シャーロットが話を続けてきたのに驚き、肩をピクリと揺らした。
        「本当にここから出ようとするとブザーが鳴るなら、閉じ込められたも同然。ここの情報を流す事は禁止されているし、スマホも没収されているから方法もない。あの男の目的は分からないけれど、この館の大きさを見るに、私達と同じ様な境遇の人達がこの先何人も来るかも知れない。なんとかしないとね」
         ルーシーはそんな事を独り言のように言うシャーロットを視界の隅に入れて呟いた。
        「考えすぎでしょう。馬鹿じゃないの」
         シャーロットは返事することなく、見えない様に眉を顰めてそれに返した。
         二人の間にバチバチと電流が走っているのをなんとなく察して、アンは慌てていたが、セイラは気にもかけず高所のホコリを落としていた。
    
         それから大分、時間が経って。
         いくらやっても広すぎる館の掃除は終わらず、仕方がないのでシャーロット以外は一旦掃除を中断し、ルーシーとアンはデビットの介添えを、セイラは使用人から届けられた食材で夕食を作っていた。
         ルーシーはデビットの部屋をジロジロと見回しながら金目の物を探し、デビッドは適当な本を読みながらアンに体を拭かせようとしていた。ちょうどその時、部屋の扉が開いてサービストレイを持ったセイラが現れた。
        「夕飯の準備ができました」
        「ご苦労」
        「それとデビッド様。扉の開かない部屋がありシャーロットが困っているそうです」
        「気にするなと言っておけ」
         そうデビッドが言葉残した時、重低音のブザーが館中に響いた。ルーシーは例の奴かと思った。
         それに一番驚いたのは今にも泣き出しそうなアンではなく、冷や汗をドバっと滝のように流し始めたデビッドであった。
         デビッドは玄関へ走りだしていった。
    
         デビッドがシャーロットの元へ着くと室内帽子を外し、艶々とした黒髪を肩におろした彼女がそこにいた。
         デビッドは彼女に問い詰める。
        「どうして館から出ようとしたんだ!」
        「帽子が外に飛ばされてしまって、取りに行こうとして……申し訳ございません!」
         シャーロットはデビッドに向かって頭を深々と下げた。デビッドはため息をついた。
        「まあよい。次からは気をつけよ。室内帽はまた新しいのを買っておく」
         なんだかあっさりとしていた。ルーシーはそれだけじゃないでしょうと思った。
        「お前は時任な客室で休んでこい。今日のところはもういいから」
         デビッドはそういうと、「ホラ、サッサと」などと言い、シャーロットを早く休む様しつこい程促した。
    
         その晩。
         盗めそうな物を探す為、ルーシーは夜の館を一人でこっそりと回っていると、シャーロットの寝ている部屋に忍び込もうとしているデビッドを見つけた。夜這いなんて、お盛んだなとルーシーは思ったが、暫くするとシャーロットを引きずるデビッドの姿があった。
         何事かと思い、ルーシーはデビッドの後ろを追う。
         デビッドはシャーロットを館の隅の部屋につれていく。その部屋の扉の鍵をあけると、ホコリが周囲に立ち込める。それからデビッドはその部屋の扉をキチンと閉めなかったので、中で起こっている事がルーシーから除かれ放題であった。
         デビッドはまずシャーロットをベッドに寝かせ、彼女の腕に注射器を刺し、おでこをナイフで切り開く。小さいハンマーの様な物で頭蓋の骨を割、一センチ位のチップを脳に埋め込んだ。その後、デビッドは彼女の頭の傷を直してやり、また引きずって、寝ていた部屋に戻してやる。最期、デビッドはシャーロットに向かってなにやらリモコンを操作し、そのまま自室に戻ると思われた、しかし、自室とは正反対の方向へ進み、廊下の本棚の前で立ち止まる。そこから一冊の本を取り出すと、また別の段へ入れ直した。何をしているのかとルーシーが不思議に思っていると、本棚の裏から隠し部屋が現れた。そこにあるのは大量の札束であった。デビッドはそこに、シャーロットに向かって使ったリモコンを投げ入れる。本棚を動かしてその部屋をまた隠し、位置を入れ替えた本は適当な場所に戻すと、やっと自室に帰っていった。
         ルーシーはデビッドの姿が見えなくなると、すぐに本棚の確認を初めた。
        (場所が分かったんだから後は方法だけ!)
         そう強く思い込んでみたが、それよりも重たい心残りがあった。
        (あの変なリモコンも持っていった方がいいわよね……)
         そうルーシーが下唇を噛んだ次の日の朝の事だった。シャーロットの様子が大きく変わったのだ、
    
        「おはようございます。デビッド様。ご朝食の準備が出来ました」
         シャーロットは女中達の中で一番に起きて料理をし、デビッドの元へ持っていった。
        「デビッド様、お体を拭かせていただきます。ルーシー! 貴方は昼食を作ってきて!」
        「アン代わりにやって」
        「えぇ?!」
         昼はデビッドにずっとくっついて介添えをしている。
        「デビッド様、夜は冷えますので私と二人で同じベッドに……」
        「夜位一人にしてくれ」
        「了解です」
         夜になるとデビッドにちょっかいをかけていた。
         アンとセイラはそんあ様子のシャーロットを見て不思議に思っていたが、ルーシーは昨晩のチップのせいだと確信していた。
    
         その日の深夜。アンが柔らかなベッドで寝ていると、汗をベットリと書いたルーシーと、気だるげなセイラが部屋にやってききた。
        「アン、起きて」
         ルーシーがそう言ってアンを揺さぶって起こす。
        「な……なんですか?」
        「ちょっと話があるのよ」
         アンとルーシーの隣でセイラはあくびをした。
        「話ってなんですか?」
         アンがそう聞くと、ルーシーは恐る恐る答えた。
        「あのね。私見ちゃったのよ。デビッドの奴がね、シャーロットを変な部屋に連れてって、脳にチップを入れてたのよ! 今日なにかシャーロットの様子がおかしかったでしょう? 私は関係がないとは思えないのよねぇ」
        「はあ」
         頭の上にハテナマークが浮かんでいるアンの為、セイラは補足するように言った。
        「こいつ、頭がイカれたんだ」
        「違うわよ! 本当に見たの」
        「ふん。寝ぼけていたのだろう。馬鹿馬鹿しい。もし仮にそんな事が起きていたとしても、俺達とシャーロットが一緒に過ごしたのはたった一日。チップとやらのせいにするには早計だろう。もしかしたら、惚れたのやもしれんぞ」
         セイラのその言葉を聞いて、ルーシーは目を細めて首を左右に降った。
        「あのデブに? そりゃあないでしょう」
        「それは本人に聞かないと分からないだろう。それに、片方が腐っていても、一応、男と女だ。ありえない事もないだろう」
        「じゃあ、貴方とデビッドもありうるって事?」
         ルーシーにそう言われると、セイラは気まずそうにいった。
        「ノーコメント」
         ルーシーは「ほらね」と呟き、話を続けた。
        「それで私、本棚の後ろに隠し部屋を見つけたのよ」
        「漫画か」
        「私も目を疑ったわ。でね。そこには唸る程の札束とリモコンがあったのよ!」
         アンがオドオドしながら聞いた。
        「リ、リモコンですか?」
        「ええ、デビッドはシャーロットの脳にチップを埋め込むと、そのリモコンを彼女に向けてなにやらいじっていたの、きっとそれがあの子の様子をおかしくしてるのよ」
        「へえ。治せってことか?」
        「ええ、ついでに金もおすそ分けしてもらって、そのままここからサヨナラよ」
        「三人じゃダメか?」
        「四人の方が沢山盗めるでしょ」
        「納得」
         ルーシーは立ち上がって、セイラとアンに言った。
        「じゃ。とりあえず行くわよ。隠し部屋」
         そんなルーシーをセイラは静止した。
        「待て、それでどうするんだ」
        「え? 盗むのよね。お金。」
        「今からか? ブザーはどうする?」
        「ええ、今からよ。ブザーは……走ってごまかすしかないでしょう」
         セイラは酷く呆れた。しかし、それ位しか方法がない、とも思った。
        「仕方ないな……」
         諦めた様にセイラは呟いた。
         アンも内心怖がる感情でいっぱいだったが、言い出せず今から盗みを働く事となった。
    
         三人は、本棚の前に立って話していた。
        「この本をここに入れると……ホラ!」
         ルーシーがデビッドのやった様にある本の位置を変えると、本棚が勝手に横へ動き、本当に隠し部屋が現れた。そこにあるのは札束の海である。アンとセイラは思わず感嘆の声を上げた。
        「ホントにあったのか……」
        「すごいです!」
         一方、ルーシーは「ヨシ」と言って、その札束の海に飛び込むと、暫く海で泳ぐ様にした後、「あった!」と大きな事と共に顔を出し、一緒に掲げられた手に確かに奇妙なリモコンが握られていた。
         セイラがルーシーの元へ駆け寄り、声をかけた。
        「それが、話していたリモコンか」
         セイラはそう言いながら、ルーシーの手の中にあるリモコンの適当なボタンを押した。
         ルーシーは咄嗟にセイラからリモコンを遠ざける。
        「ちょっとやめてよ。変な感じになったらどうするの」
        「もう変だろ」
         二人の後ろにいたアンがルーシーに聞く。
        「それで……こんな大量のお金。どうやって盗むんですか?」
         ルーシーはしばし考えた後、答える。
        「全部盗むのは流石に無理だから……そうね。エプロンを結んで袋みたいに出来ないかしら」
         ルーシー達は、エプロンドレスを脱ぎ、袋の様に結んで札束を目一杯に詰め込んで見る。
        「あんまり入らなかったわね」
        「額としては十分だろう」
        「さ、先を急ぎましょ」
         三人が廊下に出ると、何者かが一人、待ち伏せていた。
        「何をしているのですか? セイラ、アン、ルーシー」
         三人の名前をゆっくりと呼ぶのは、シャーロットであった。後ろで手を組み、堂々とした態度で佇んでいた。
        「デビッド様!」
         シャーロットがそう叫ぶと、どこからともなく寝巻きを来たデビッドが現れた。デビッドはそのままシャーロットに近寄る。彼の顔面には下衆としか言えない邪悪な笑みが浮かんでいた。
        「シャーロット!」
         ルーシーがそう叫び、リモコンを持った手を彼女へ向かって伸ばした。しかし、リモコンは手汗で滑り落ち、デビッドの足元へと転がった。
        「おい! なにしてんだ!」
        「ごめん」
         デビッドは足元のリモコンを見下ろすと、それを踏み潰した。三人は思わず「あー!」と声を上げた。
        「どうする!」
         セイラはルーシーの方を向くと、ルーシーは悔しそうな顔をしていた。
        「悪いけど置いていきましょ!」
         そんな身も蓋もない事を言って、ルーシーは窓から飛び降りた。館内に体を貫く様な低いブザー音が鳴り響く。
        「あ! おい、待て!」
         次に飛び降りたのはセイラ。
        「ご、ごめんなさい!」
         最後にアン。
         デビッドは窓から紙幣を撒き散らしながら走り去って行く三人組を見下ろした後、怒りの抑え切れぬ真っ赤なか顔でシャーロットに言った。
        「早く行くぞ! あの盗人共をとっ捕まえなくては!」
         怒鳴りつける様にデビッドは言った。
         しかし、シャーロットは緩慢とした態度で、デビッドを見つめている。
        「おい、どうした、シャーロット。何をしている」
         シャーロットは緊張感のない様子で言った。
        「デビッド様。私は嬉しいです。貴方様と二人きりになれて」
        「シャーロット?」
         デビッドはまだ理解できていない様子であった。
         その時、シャーロットは背中に隠した刃物をふりかざす。デビッドは反応できずにその刃を受け止めてしまった。
         最初に狙われたのは、右足だった。鋭い刃が分厚い脂肪で覆い尽くされた太い足に突き刺さり、生暖かい血がスーツに滲む。デビッドは痛みにしゃがみこんだ。
         デビッドはシャーロットを見上げた。
        「おい……なんのつもりだ……」
         上ずった声でシャーロットは言う。
        「貴方様は、この館を私の為に建ててくださったのでしょう?」
        「はあ?」
         その言葉は、デビッドの質問の答えになっていない。
        「あの雌豚共も、きっと演出の為に呼びつけたのですね。邪魔なんて必要ないと再確認する為の! この館は、運命の名の元に出会った私達が……心と体を交わし合う為の……愛の巣なのでしょう?」
        「な、なにを……」
        「お怪我をされてしまっては、しばらく無茶もできないでしょう。今貴方様に必要なのは、私の様な、真実の愛を持って真摯に介護をする美しい女中のみなのです」
        「こんな事……許されると思っているのか……!」
        「四肢のもげた主人の介添えをする女中を、咎められる者などおりましょうか」
         それが、デビッドのこの先受ける仕打ちの全てを表した言葉であった。
        「これから、初めてを分かち合うのです。してあげられなかったコト、されなかったコト、やったことのないモノ、やられたことのないモノ……全て二人で分け合うのです……」
         ブザーが鳴り止み、恍惚に染まった笑い声が館中に響いた……。
    
ルーシー達は胸にひとつ大きな心残りを抱いて、人里へと向かっていた。
         全部ダメ。
         最後のオチへ繋げる為に、キャラクターの行動や発言が全部不自然になってる。なんなら設定が一番不自然。逃がしたくないなら玄関なんか塞いでろよ。馬鹿じゃないの。
         最初に女中達の説明を入れなかったから、途中ゴッチャゴチャになるし。
         全体的に描写が雑。なのに最後のデビッドとシャーロットのシーンの書き込みもキモい。0点!
    
いつか書き直します。いつかね。いつか。